iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態解析と創薬

DOI
  • 赤松 和土
    順天堂大学大学院医学系研究科ゲノム・再生医療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Disease Modeling and Drug Development for Parkinson’s Disease Using iPS Cells

この論文をさがす

抄録

<p>パーキンソン病は60歳以上では100人に約1人が発症する神経変性疾患であるが,症例の9割を占める孤発性症例は,臨床症状からその原因が多様な集団と予測され,各症例の層別化と病態解明が効果的な治療法開発に必須と考えられる.われわれはこれまでさまざまなタイプのパーキンソン病のiPS細胞の樹立・解析を進めてきたが,最近,ミトコンドリアクリアランス異常を示す家族性パーキンソン病患者由来iPS細胞より誘導した中脳特異的神経細胞を用いて320種類の化合物スクリーニングを実施し,細胞レベルでの疾患表現型と細胞脆弱性を回復させる化合物として4種類を同定することに成功した.候補化合物はショウジョウバエモデルや一部の孤発性症例の症例に対しても表現型回復効果を示した.このようにパーキンソン病においては,稀少な家族性症例由来のiPS細胞を用いた創薬が症例の大部分を占める孤発性症例に対する新規治療薬につながる可能性がある.</p>

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 63 (4), 317-320, 2023

    一般社団法人 日本心身医学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ