特集:「10年後の知財情報検索への期待を込めて」の編集にあたって

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タイトル別名
  • Introduction to “Expectations for intellectual property information search in next decade”

抄録

<p>過去10年間の知財情報検索を取り巻く環境の変化を振り返ってみると,人工知能(AI)の発展と切り離せないことがよく分かります。</p><p>AI搭載を謳った「KIBIT」の登場が2015年のことです。以降,発明の進歩性・新規性を判定するシステム(AI Samurai)や特許価値評価機能を搭載した検索システム(PatentSight他),充実した解析機能を搭載したツール(Amplified AI他),教師データを用いてノイズ特許と正解特許を切り分けるツール(Deskbee他),ニューラル機械翻訳の導入による特許公報の機械翻訳精度の向上(特許庁)と,AI技術によって各種の機能が提案され,あるいは実現され現在に至っております。</p><p>そして昨年11月には「ChatGPT」が公開されて大きな話題となりました。「生成系AI」と呼ばれ自然な文章を作成するChatGPTの可能性は,知財情報検索をも変えてしまうかも知れないとのインパクトを持って受け止められています。</p><p>このようにAI技術で変化してきた知財情報検索ですが,この大きな変化の中で自分は何をやればよいのかで迷われている方も多いことでしょう。さらにこれからの10年間で知財情報検索がどうなっていくのか,そして自分はどこに向かって進んだらよいのかも重要な関心事であると推察いたします。</p><p>本企画はAIと知財情報検索との現在の関わりをまとめるとともに,次の10年の進む方向に思いを馳せるために立案いたしました。</p><p>最初に特許庁の伊藤孝佑氏,久慈渉氏,後藤昌夫氏に,特許庁で進められているAI活用に向けた取り組みの最新動向についてご紹介いただきました。二本目は旭化成株式会社の佐川穣氏と中村栄氏に,旭化成における現在までのIPランドスケープの取り組みと,新たな価値を生み出すためのこれからのIPランドスケープ,さらにそれらを推進する人材の育成について事例を交えて分かりやすく紹介していただきました。三本目は,AIPE認定シニア知的財産アナリスト(特許)の佐藤貢司氏に,AIとIPランドスケープのこれからについてご提案いただきました。二本目と合わせて読んでいただくことでIPランドスケープへの理解がより一層深まることと思います。四本目はスマートワークス株式会社の酒井美里氏に,公報査読に際してのAI活用の可能性についてご意見をいただきました。日々,公報査読に悩まれている方にはヒントをいただける内容になっていると思います。五本目は東洋製罐グループホールディングス株式会社の岡本耕太氏に,AI搭載ソフトを知財業務に活用する際の留意点をユーザー視点でご提案いただきました。最後に株式会社日本電気特許技術情報センターの奥田慶文氏に,新しいビジネスとしてのメタバースについて分かりやすくご紹介いただいております。</p><p>読者の皆様におかれましては,これらの論文から次の10年に向かってのヒントを受け取り,元気に前向きに歩んでいくための後押しになればと考えております。</p><p>INFOSTAパテントドキュメンテーション委員会</p>

収録刊行物

  • 情報の科学と技術

    情報の科学と技術 73 (7), 255-255, 2023-07-01

    一般社団法人 情報科学技術協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859616450637312
  • DOI
    10.18919/jkg.73.7_255
  • ISSN
    21898278
    09133801
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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