先天性心疾患の青年における心理的自立の特徴:「依存」と「自律」からみた一般青年との違い

書誌事項

タイトル別名
  • Psychological Independence in Adolescents and Young Adults with Congenital Heart Disease: Comparison of Their Independence and Autonomy with Healthy Adolescents
  • センテンセイシン シッカン ノ セイネン ニ オケル シンリテキ ジリツ ノ トクチョウ : 「 イソン 」 ト 「 ジリツ 」 カラ ミタ イッパン セイネン ト ノ チガイ

この論文をさがす

抄録

<p>医療現場では,先天性心疾患(以下,CHD)の青年が親に依存する傾向が問題視されてきた。しかし,親に依存しながら自律的に意思決定するCHD青年もいる。そこで本研究では,依存と自律の2側面から,CHD青年の心理的自立の特徴を検討した。CHD青年と一般青年に質問紙調査を行い,依存,自律,心理適応(自尊感情,親を頼った後の感情)を評定させた。さらに,CHD青年には疾患の主観的重症度も評定させた。依存と自律の2側面から心理的自立を類型した結果,主観的重症度が低いCHD青年は,一般青年や主観的重症度が高いCHD青年よりも「依存高自律高型」が多かった。また,重回帰分析の結果,疾患の有無や主観的重症度にかかわらず,依存は親を頼った後の「自己成長感」,「気持ちの安定」,自律は「自尊感情」,親を頼った後の「自己成長感」,「気持ちの安定」,「成長阻害感」と有意に関連した。本研究の結果,CHD青年の自律は一般青年と同程度に発達していた。この知見は,医療者が捉えるCHD青年像とCHD青年の心理的特徴の間にあるギャップの低減に寄与する。今後,医療者は親への依存の有無よりも,青年の自律を重視した自立支援を行うことが重要である。</p><p>【インパクト】</p><p>親への依存傾向が問題視されてきた先天性心疾患(以下,CHD)のある青年の心理的自立の特徴について,親への依存と自律(自己決定)の2側面から検討した。その結果,親に依存しながら自律するCHD青年がいること,また特に自律の側面が心理適応において重要であることを実証した。CHD青年の自立に向けて,医療関係者が一般的に考える課題(依存)以外にも,重要な要因(自律)が存在することを示した。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 34 (2), 59-68, 2023

    一般社団法人 日本発達心理学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ