コアグピアAPTT-Nを用いたAPTTクロスミキシングテスト判定法であるWaSALD50 法の評価

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タイトル別名
  • Evaluation of cross-mixing test by Was-ALD50 method using Coagpia APTT-N

抄録

<p>我々の確立したWaS-ALD50 法は,APTT 延長検体のクロスミキシングテスト判定法であり,APTT 試薬としてトロンボチェックAPTT-SLA (SLA: Sysmex) を使用した.今回,コアグピアAPTT-N (CP-N: 積水メディカル) を用いたWaS-ALD50 法の評価を行った.</p><p>【対象および方法】対象は,ループスアンチコアグラント(LA)陽性38 検体,凝固因子低下14 検体,第VIII 因子インヒビター(VIII i)48 検体の計100 検体であり,測定装置はコアプレスタ2000(積水メディカル),APTT 試薬はCP-N を用いた.ALD50 は混合血漿(正常血漿50:患者血漿50)の実測値を,正常血漿と患者血漿を直線で結んだ値で除した% 値で混和直後を判定するパラメータ,WaS は混合血漿と患者血漿の混和直後から加温後の変化率を求め,混合血漿から患者血漿の変化率を差し引いた値で加温後を判定するパラメータである.</p><p>【結果】ALD50 はLA 群と因子低下群のROC 曲線から求めたカットオフ値を90.5% としたとき,感度100%,特異度92.9% であった.WaS はVIII i 群とLA 群・因子低下群のカットオフ値を9.0% としたとき,感度85.4%,特異度94.2% であった.ALD50 とWaS を組み合わせたマトリクス表を応用した判別率はLA 群94.7%,因子欠乏群85.7%,VIII i 群85.4% であり,全体で89.0% であった.LA 群と因子欠乏群の判別率はSLA と同等,VIII i 群はSLA の95.8%に比べ低かった.この要因として,CP-N はSLA に比べ第VIII 因子インヒビター高力価の検体で混和直後における混合血漿のAPTT 値が延長し,加温後における混合血漿のAPTT 値との差が小さくなることで WaS が低くなった.これは,APTT 試薬の第VIII 因子に対する反応性の違いより生じたと考えられた.</p><p>【まとめ】CP-N を用いたWaS-ALD50 法は,SLA と同様にAPTT 延長検体を高率に判別でき,APTT 延長原因の的確な解析に寄与できる.</p>

収録刊行物

  • Tenri Medical Bulletin

    Tenri Medical Bulletin 26 (1), 58-59, 2023-12-25

    公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所

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