ペンタブレットを用いた仮名単語聴写課題における書字動態の発達的変化と神経発達症傾向との関連性

  • 惠 明子
    熊本大学大学院社会文化科学教育部
  • 鈴木 暁子
    熊本大学大学院社会文化科学教育部
  • 愼 重弼
    会津大学 コンピュータ理工学部 パターン処理学講座
  • 安村 明
    熊本大学大学院人文社会科学研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Developmental changes in writing dynamics and its Relationship with ADHD and ASD Tendencies
  • ペンタブレット オ モチイタ カナ タンゴチョウシャカダイ ニ オケル ショジ ドウタイ ノ ハッタツテキ ヘンカ ト シンケイ ハッタツショウ ケイコウ ト ノ カンレンセイ

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抄録

<p>【要旨】 書字は視覚認知機能やワーキングメモリなど多くの認知的要素が関連し表出される。ワーキングメモリや抑制機能などの要素的な認知発達についての研究が盛んに行われているが、書字の発達的変化については未だ明らかにされていない。神経発達症は特異的な認知発達を主徴とすることが知られる。筆者らはこれまで、神経発達症と書字形態との関連性や自閉スペクトラム症傾向と書字動態との関連性について報告した。しかし、書字速度や筆圧の分散等の詳細な書字動態の指標との関連性については十分に検討されていない。本研究では書字動態の発達的変化と神経発達症傾向との関連性について、詳細な解析を加え報告する。対象は通常学級に在籍する小児27例 (男児12例、女児15例、平均12.4歳) と成人26例 (男性15例、女性11例、平均27.3歳) であった。書字動態はペンタブレットで取得可能な時間と筆圧を細分化した5つの指標を用いた。結果、発達的変化では小児と比較して成人で書字速度の短縮を認めた。神経発達症と書字動態との関連性については小児において、注意欠如・多動症傾向と筆圧の分散に相関関係がみられ、自閉スペクトラム症の質問紙の下位項目である細部への関心と書字速度との間に相関関係が認められた。それぞれの神経発達症に特徴的な書字動態が表出される結果が得られ、神経発達症の診断補助としての書字動態の有用性が示唆された。</p>

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