PBI Tokyo 2022 参加者に聞く④

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書誌事項

タイトル別名
  • Voices of Leaders from the Public Broadcasters International Conference (PBI Tokyo 2022) [Part IV]
  • CBC (Canada) and ČT (Czech Republic)
  • ~カナダCBC,チェコČT~

抄録

デジタル時代に対応するために公共メディアへの転換をはかる世界の公共放送は、どのような課題と向き合い、どのような役割を果たそうとしているのか。2022年11月に東京で開催されたPBI(Public Broadcasters International、国際公共放送会議)に参加した公共メディアの代表ら6人へのインタビューをもとにした連載4回目の本稿では、カナダCBCのキャサリン・テイト会長と、チェコCTのペトル・ドヴォルザーク会長の話を伝える。 CBCのテイト氏は、公共メディアが直面する最大の課題は信頼の低下であり、要因としてソーシャルメディアによる偽情報の拡散を指摘した。その対策として、CBCは国際的な連携に参加するとともに、テレビやオンラインの番組で情報の真偽を検証・解説し、メディア・リテラシーの普及に力を入れていると、テイト氏は述べている。また、メディア自身が透明性を高め、報道・放送のプロセスを説明することも信頼を得るためには欠かせないと、テイト氏は強調した。さらに、公的な資金の恩恵を受けている公共メディアの役割として、△視聴率などにとらわれず、より深い報道を行うこと、△社会の変革を主導するためにリスクをとる覚悟を持つこと、△自国の歴史に関わる真実に光をあてて共有し会話を促すこと、などを挙げている。 CTのドヴォルザーク氏は、世界の公共メディアにとっての重要課題は、独立性、持続的で安定した財源の確保、急速に変化するメディア環境への対応だと述べている。同氏は、政治的・商業的な利益に影響されず、信頼できる情報を提供する公共メディアは人びとの拠り所となる錨のような存在であり、民主主義を支える柱の1つであるとの見方を示した。CTの予算の約90%を占める受信料は14年据え置かれており、急激な物価上昇もあってČTはサービスの一部縮小を余儀なくされている。それでも受信料制度には視聴者と直接つながるという大事な意味があり、その支払い率は公共メディアが提供するサービスの価値に対する人々の理解と評価を表していると、ドヴォルザーク氏は語っている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859779495908096
  • DOI
    10.24634/bunken.73.7_64
  • ISSN
    24335622
    02880008
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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