電波発信機を用いたニホンザルのオスの移動・分散距離の分析

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タイトル別名
  • Analysis of migration and dispersal distance of male Japanese macaques using radio transmitters

抄録

<p>ニホンザルの分布は、連続分布している地域、モザイク状に分布している地域、連続分布から著しく孤立している地域と様々である。特に孤立している地域個体群は、遺伝的多様性の消失が危惧される。ニホンザルの遺伝的多様性を保全するためには、地域個体群間でのオスの移動が重要である。しかし、ニホンザルのオスの分散や移動を定量化した先行研究はほとんど認められていない。そこで、GPS発信機とVHF発信機を用いてオスの移動距離および群れから離脱する季節について分析を行った。兵庫県内の地域個体群、美方(n=9)、城崎(n=7)、篠山(n=2)大河内・生野(n=11)、船越山(n=5)のオス亜成獣(4.5-5歳)計34頭に発信機を装着し約3年間、追跡した。分析に用いたデータは、2012年から2022年までに発信機を装着した個体である。また、分析では他府県で発信機装着したおす個体が兵庫県内で確認された個体についてもでーたに加えた。電波発信機装着個体は血液を採取し、ミトコンドリアDNA第2可変領域412bpの塩基配列を分析し出生群を離脱していない個体であることを確認した。すべての個体が群れを離れ、他の地域個体群(群れ)に移動していた。距離は直線で最大102.3km、最小3.7km、平均24.5±15.7kmであった。全ての個体が5月〜6月に群れから離れ移動し交尾期の9月に群れに接近または加入していた。今後は、移動ルートの詳細についてGISを用いて景観地理との関係について解析する予定である。絶滅地域個体群の保全単位を考える上で、オスの移動頻度や移動距離が今後キーワードになると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859846096130560
  • DOI
    10.14907/primate.39.0_41_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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