ニホンザルの近距離音声鳴き交わしにおける発声間隔の収束

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タイトル別名
  • Convergence of the inter-call intervals during turn-taking of close calls in Japanese macaques

抄録

<p>ヒトは会話の際、相手の発話タイミングを予期し、相手と発話テンポを同調させる。ヒト以外の動物の鳴き交わしにおいても、発声の重なりを避けるような調整が生じていることが知られているが、他個体との発声同調は限られた種を除いて確認されていない。そこで本研究では、ニホンザルが近距離で連続的に鳴き交わす音声に着目する。まず、鳴き交わしの際には、先行研究で示されたような相手の発声との重なりを避ける発声間隔の調整が確認できるのかを検討する。そして、鳴き交わしにおいて発声の種類やテンポが収束するのかを検討する。嵐山集団のニホンザル成体メス15頭を対象とした。個体追跡観察により、対象個体の社会行動と、対象個体あるいは周囲の個体のコンタクトコールを記録した。コンタクトコールが観察された場合には、受け手がいたか、鳴き交わしたかどうかを記録した。発声が十分に記録された個体を対象とした予備的な分析の結果、相手に対して返答する場合のほうが、同じ個体が鳴き交わし以外で発声を繰り返す場合よりも発声間隔が短かった。このことは、相手と発声の重なりを避けるような調整が生じていることを示唆する。また、一連の発声内での発声間隔のばらつきを定量化した。鳴き交わしにおいては、相手との間で発声間隔のばらつきが少なくなることが予測される。発表では、発声間隔の個体差と、相手との発声間隔の収束が生じるのかについて議論する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859846096134144
  • DOI
    10.14907/primate.39.0_46_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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