Phylogeography of Japanese macaques in Shikoku Island:

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Other Title
  • 四国のニホンザルの系統地理:
  • Characteristics of populations around the Sanuki Mountains
  • 讃岐山脈周辺個体群の特徴

Abstract

<p>四国に生息するニホンザルの成立と個体群構造に関する研究は遅れており、ニホンザルの系統進化や個体群管理を考えるのに必要な情報が不足している。これを補うためにこれまで四国の生息地で遺伝子による系統地理調査を進めてきた。今回の研究では、讃岐山脈周辺個体群で得た血液試料でmtDNAを分析し、吉野川流域北東部に分布する個体群に関する新情報を加えて四国個体群全体の進化と集団構造を解明することを目的にした。分析には、香川県と徳島県のニホンザル管理計画による事業を中心に、2005年〜2022年に捕獲された個体から採血していた81検体を利用した。mtDNA非コード領域をPCRで増幅し、ダイレクトシーケンシング法でほぼ全長(約1 kb)を比較した。この結果、少なくとも17種類のmtDNAタイプが区別でき、これらはこれまで検出していないタイプであった。分子変異は塩基置換がほとんどで、一部に挿入欠失変異が認められた。クラスター分析では、個体群分布(香川県の中西讃個体群と東讃個体群、徳島県の東部圏域と西部圏域の個体群)を反映したタイプの違いが見られた。検出できたタイプの多くは四国全体で見ると系統的に単系と判断でき、調査地域のニホンザルが母系的にはほぼ同系統であることを示唆した。これまでの調査から系統的に東西に二分される四国のニホンザルの中では、今回調査した個体群は四国東部の分集団のひとつを構成し、淡路島のタイプもこの中に含まれていた。また、小豆島のタイプはこれらから外れていた。一方、日本全体で比べると、ごくわずかではあるが、四国以外のタイプに近縁なものが香川県西部(中西讃個体群)で検出された。これまでも瀬戸内海を隔てて四国個体群に近縁なmtDNAタイプは岡山県臥牛山群で検出されていたが、今回発見したタイプはこれとは別の中国地方(島根県)タイプに近縁であった。</p>

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