脳死患者の家族のための意思決定支援

DOI
  • 会田 薫子
    東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター上廣講座
  • 荒木 尚
    埼玉県立小児医療センター 小児救命救急センター 外傷診療科 埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • Decision-making support for the family of a brain-deed patient
  • —clinical ethics conference method
  • ─臨床倫理カンファレンスの方法─

抄録

抄 録:本邦で脳死下臓器提供が法制化された臓器の移植に関する法律(臓器移植法;1997年)の制定から四半世紀が経過したが,内閣府の世論調査(2021年)において,臓器提供の意思表示をしていたのは約1割に留まった。また,脳死下または心停止下で家族が臓器提供をすることに関しては,本人が事前に意思表示をしていた場合は本人の意思を尊重すると回答した人は約9割だったが,本人が何も意思表示をしていなかった場合は家族として臓器提供を決断することに負担を感じると回答した人も9割近くにのぼった。これらの結果から,意思決定支援のためにさらなる対策が必要とされているといえるだろう。本稿では,その一環として,日本人の意思決定に関する文化を踏まえて開発された臨床倫理検討法を用いた多角的なカンファレンスの方法を紹介する。この方法を用いて多職種間の情報共有とチームワークを促進し,家族の声を聴き,揺れ動く感情に応答しつつ意思決定を支援することは,現状改善のための一助となる可能性がある。脳死患者/患児の看取り医療において,本人・家族の意向を尊重した臓器提供が一般的な選択肢の1つとなるために,より充実した家族ケアを含めた意思決定支援が必要とされている。

収録刊行物

  • 脳死・脳蘇生

    脳死・脳蘇生 35 (2), 48-57, 2023

    日本脳死・脳蘇生学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859868585127808
  • DOI
    10.34367/jjcrbd.35.2_48
  • ISSN
    24351733
    1348429X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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