頸管ペッサリー(アラビンペッサリー)を用いた切迫早産治療の検討

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タイトル別名
  • Examining the treatment of patients with a threatened preterm birth using cervical pessary
  • ケイカン ペッサリー(アラビンペッサリー)オ モチイタ セッパク ソウザン チリョウ ノ ケントウ

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抄録

当院では,2019年から切迫早産の入院患者26例に頸管ペッサリー(アラビンペッサリー)を使用して治療を行った.この頸管ペッサリーはシリコン製で柔らかく,頸管ペッサリー装着後は痛みを訴えることは少ない.低侵襲で着脱が簡単である.子宮内感染を伴う症例,前期破水を伴う症例,すでに疼痛を伴う規則的な子宮収縮がある症例,性器出血がある場合は使用できない.当院ではTocolysis Index 3点以上で入院加療している.2016年から2018年に切迫早産で入院加療した45例と2019年から2021年に入院加療して頸管ペッサリーを装着した26例を比較検討した.受診時,TocolysisIndex 5点以上で加療不能と判断し,母体搬送した症例は比較検討から除いている.切迫早産での母体搬送症例は,2016年から2018年は5例,2019年から2021年は4例だった.受診時34週から36週未満で,Tocolysisが不可能で当院で分娩に至ったのは,2016年から2018年は7例,2019年から2021年は7例で,これも比較検討から除いている.両群とも母体年齢,Tocolysis Index,入院時子宮頸管長,分娩週数,出生体重,Apgar score,臍帯動脈血pH,分娩時の出血量に有意差はなかった.入院日数は,頸管ペッサリー不装着群は29.78±5.49日で,頸管ペッサリー装着群は9.04±2.88日で大きく差があった.今回,切迫早産症例に頸管ペッサリーを装着して,入院日数を大幅に短縮できた.ほぼ全例に退院後帯下の増量を認めたが,早期の退院が可能となった.退院後は,比較的安静の指示の下,リトドリンの経口投与と抗菌剤腟錠の定期的投与を妊娠36週まで行った.〔産婦の進歩75(3)212-220,2023(令和5年8月)〕

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