体細胞由来と考えられる上皮性卵巣腫瘍と卵黄囊腫瘍の混合腫瘍の1例

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タイトル別名
  • A case of mixed ovarian cancer, adenocarcinoma and probably somatically derived yolk sac tumor
  • タイサイボウ ユライ ト カンガエラレル ジョウヒセイ ランソウ シュヨウ ト ランオウノウ シュヨウ ノ コンゴウ シュヨウ ノ 1レイ

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抄録

卵巣卵黄囊腫瘍は悪性胚細胞腫瘍の一種で,若年者に発症することが多い.今回,閉経後に上皮性卵巣癌と体細胞由来と考えられる卵巣卵黄囊腫瘍の1例を経験した.症例は62歳,未妊で,造影MRI検査および造影CT検査で右卵巣に一部濃染される充実成分を伴った多房性囊胞性腫瘍および腹膜播種を認め,血中AFP,CA125,CEAの上昇を認めた.腫瘍減量術を行ったが,多数の残存腫瘍を認めた.組織学的には粘液を有する円柱状の異型細胞と淡明な細胞質を有する立方状の異型細胞が増生する領域を認めた.前者はalcian blue(+),SALL4(-),AFP(-),glypican3(-)でありadenocarcinomaと診断した.後者はSALL4(+),AFP(+),glypican3(+),Napsin A(-)でありyolk sac tumorと診断した.術後初回化学療法を開始したが1サイクル目day3時点で全身状態と腎機能低下の増悪を認め治療を中止した.以降腫瘍の急速な増大,病状の進行に伴い術後46日目原病死となった.閉経後であっても上皮性卵巣腫瘍と関連して本疾患が発症する可能性を考慮し,速やかな診断,治療につなげる必要がある.〔産婦の進歩75(3):322-329,2023(令和5年8月)〕

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