重度羊水過少症に対して羊水注入を行い正期産児を得た1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of a full-term infant born after amniotic fluid infusion for severe oligohydramnios
  • ジュウド ヨウスイ カショウショウ ニ タイシテ ヨウスイ チュウニュウ オ オコナイ セイキ サンジ オ エタ 1レイ

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抄録

羊水過少の妊娠中期における頻度は0.5-5.5%であると報告されている1).妊娠中期の羊水過少の原因は前期破水や胎児腎尿路障害などがあり,原因不明の羊水過少に対し人工羊水注入は原因の診断に有用である2).今回われわれは,重度羊水過少症に対して羊水注入行い正期産児を得た1例を経験したので報告する.症例は28歳,2妊0産であり,自然妊娠で妊娠成立した.妊娠19週5日の胎児超音波では胎児発育および羊水量に問題を認めなかった.妊娠23週1日,胎動減少を主訴に前医を受診したところ重度の羊水過少および胎児発育不全と診断され,当院へ搬送となった.原因不明の羊水過少に対し,インフォームドコンセントのうえ,診断目的に羊水注入を行ったところ羊水量は増加し以後減少は認めなかった.以後,胎児心拍モニタリングにおいても改善を認めた.妊娠26週2日に胎児の腹部腫瘤の出現を認め,以後は羊水量および腹部腫瘤ともに著変なく経過した.骨盤位のため妊娠37週0日に選択的帝王切開を行った.児は2257 g(-0.9 SD)で出生した.同日,手術所見より囊胞性胎便性腹膜炎と診断し,緊急開腹術および囊胞ドレナージを施行した.以後,児は経過良好であり術後16日目に退院となった.現在,2歳であり発育は順調である.今回の症例は妊娠中期の重度羊水過少に対し,人工羊水注入を行った.その後の胎児発育は良好であり,羊水量を維持し正期産児を得ることができた.〔産婦の進歩75(3):330-335,2023(令和5年8月)〕

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