北海道北部およびオホーツク海沿岸におけるゴマフアザラシ(<i>Phoca largha</i>)の離乳直後の食性型の変化

DOI
  • 高野 延道
    東京農業大学生物産業学研究科
  • 小林 万里
    東京農業大学生物産業学部海洋水産学科海洋生物学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Feeding pattern change of spotted seals (<i>Phoca largha</i>) newly weaned pups on the coast of Hokkaido, Japan

抄録

<p>北海道沿岸に来遊する幼獣以降のゴマフアザラシ(Phoca largha)の食性については,主に水深の浅い沿岸域で魚類と頭足類を採餌する広食性であることが先行研究にて解明されてきた.しかし,離乳直後の個体については魚類餌生物に加えてオキアミ類(Euphausiidae spp.)を含む浮遊性小型甲殻類を餌生物として利用していることが明らかにされているにとどまる.そこで本研究では北海道沿岸における離乳直後の個体の食性変化を分析し,その様相と時期を具体的に把握することを目的とした.順序ロジスティック回帰分析の結果,オキアミ類のみを食性の中心としたオキアミ類専食型は3月,オキアミ類と魚類の両方を中心とした併用型は4月,魚類のみを中心とした魚類専食型は5月を中心に出現した.採餌経験と遊泳能力に乏しい離乳直後の個体が,海氷下で群れを形成するオキアミ類を重要な初期食物として積極的に利用していたものと考えられた.その後,海氷の消失に伴って魚類専食型に移行し,底層魚類を積極的に利用することが生存に有利な戦略であることが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 63 (2), 157-166, 2023

    日本哺乳類学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390859934274822272
  • DOI
    10.11238/mammalianscience.63.157
  • ISSN
    1881526X
    0385437X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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