サンルダム

書誌事項

タイトル別名
  • The issues of the Sanru dam,the Teshio drainage basin, the northern Hokkaido
  • -a destruction of one of the most important spawning habitats of cherry salmon in Japan

抄録

サンルダムは、北海道北部、天塩川水系の名寄川の支流、サンル川に2018年に建設された。1996年からの根強い反対運動によってその着工は阻止されてきたが、北海道開発局は2003年、ダム推進派を大多数とする「天塩川流域委員会」を設置、ダム建設の主体であった開発局旭川建設部の元職員を委員長にして一方的な運営を行い、建設を容認させた。本論では、その経緯とともに、サンルダムの基本的な問題点、建設に反対した筆者らの運動について述べる。とくに重要な論点となったのは、天塩川の基本高水流量の過大な算定や、その治水基準点が、水害の多発する下流部ではなく中流部に設定されていた問題、およびサンルダムによるサクラマスの日本最高の産卵場所の破壊であった。北海道開発局は、魚道によってサクラマスの遡上は維持でき、「順応的管理」をすると主張したが、そうであるなら、まず魚道の効果を確認し、それが不十分ならダム計画を再検討すべきであるのに、それを無視してダム建設を強行した。現実には、ダム湖を迂回する長大なバイパス水路と、落差30mの階段式魚道によって、サクラマスの遡上・産卵は大きなダメージを受けていることが建設後のデータから指摘されている。

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