ヘルペス性毛包炎

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タイトル別名
  • Herpetic Folliculitis

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抄録

<p>患者:17 歳,男性</p><p>主訴:顔面,体幹の多発する紅色丘疹</p><p>既往歴:3 歳時,水痘ワクチン 1 回のみ任意接種</p><p>家族歴:同居家族に同症状なし</p><p>現病歴:初診の 7 日前から微熱,咽頭痛があった。3 日前,38 度台の発熱があったため,近医耳鼻科を受診し,Covid19 感染陰性を確認後,アモキシシリン 250 mg を 2 回内服し解熱したが,体幹,四肢に約 5 mm までの紅色丘疹が多発してきた。前日,近医皮膚科を受診し,薬疹あるいは水痘疑い(デルマクイック® VZV 弱陽性)で,精査加療目的で紹介された。</p><p>現症図 1 ):体温 35.8 度。全身状態良好。表在性リンパ節腫脹なし。顔面,体幹,四肢にかゆみのある約 5 mm までの紅色丘疹が多数散在していた。個疹は毛包一致性で,頂点に痂疲を付した丘疹も混在していた。口腔内,手足には皮疹はなかった。</p><p>臨床検査所見(下線は異常値を示す):WBC 4040/μl(Neu 44.1%,Lym 46.5%,Mono 6.4%,Eo 2.5%),Hb 15.3 g/dl,Plt 17.5 万/μl,CRP 0.37 mg/dl,血沈 6 mm/h,AST 34 U/lALT 43 U/lγ-GTP 82 U/lLDH 233 U/l,IgG 1044 mg/dl,ASO 15 IU/ml,ASK 80 倍,水痘・帯状疱疹ヘルペス(VZV)IgM(EIA)4.34,VZV IgG(EIA)1160,HSV IgG(EIA)2.0 未満</p><p>病理組織学的所見図 2 ):腹部の紅色丘疹より生検した。表皮では,necrotic keratinocyte が散見されたが,水疱形成はなかった。毛包内はリンパ球や好中球などの多種の細胞浸潤に置換され,毛包上皮細胞の球状変性,壊死を認めた。真皮~皮下組織の毛包周囲,血管,汗腺周囲に著明なリンパ球の浸潤を認め,ヘルペス性毛包炎(herpetic folliculitis:HF)の所見に一致した。</p><p>治療と経過:初診時,当院で施行したデルマクイック® VZV は陰性であったため,汗疹や毛囊炎と考え,経過観察としたが,2 日後,VZV の抗体価高値より,本症例はワクチン接種後罹患(breakthrough 水痘)と診断した。抗ウイルス薬を 1 週間投与し,皮疹は消退した。1 カ 月後も肝機能の上昇などなく終診とした。23 日後の VZV IgM(EIA)は 1.81,VZV IgG(EIA)は 468 であった。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (4), 253-254, 2023-08-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (2)*注記

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