陰囊の瘻孔が診断の契機となったクローン病の 1 例

  • 池田 彩乃
    鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
  • 後藤 寛之
    鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
  • 吉田 雄一
    鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Crohn's Disease Diagnosed by Scrotal Fistula
  • インノウ ノ ロウコウ ガ シンダン ノ ケイキ ト ナッタ クローンビョウ ノ 1レイ

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抄録

<p>24 歳,男性。初診の 5 カ 月前に腹痛と発熱を生じ,胃腸炎と診断されたが,抗生剤内服で軽快した。初診の 4 カ 月前に陰囊の硬結に気がついた。発熱・陰囊腫大を伴うようになり,切開排膿・抗生剤による治療を行われたが,症状を繰り返したため,当科へ紹介された。左陰茎基部に腫脹と皮下硬結があり,圧迫にて排膿がみられた。陰囊の瘻孔を壁ごと全切除する目的に全身麻酔下で手術を行ったが,瘻孔は背側(肛門方向)の深部まで続いており,広範囲の死腔と不良肉芽を認めた。腹部 CT では陰茎根部左側から肛門管左側にかけて軟部影がみられた。また,創部培養からは腸内細菌が検出された。病理組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫がみられなかったが,陰囊の瘻孔が腸管と連続している可能性を考え,消化器内科・外科へ紹介し,クローン病(以下 CD)と診断した。CD の皮膚病変は多彩であり,難治性・再発性の瘻孔では CD に伴う痔瘻の可能性を考慮する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (4), 281-283, 2023-08-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (4)*注記

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