アダリムマブで治療した化膿性汗腺炎の 2 例

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タイトル別名
  • Two Cases of Hidradenitis Suppurativa Successfully Treated with Adalimumab
  • アダリムマブ デ チリョウ シタ カノウセイ カンセンエン ノ 2レイ

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抄録

<p>症例 1:51 歳,男性。初診 3 カ 月前より左胸部に膿瘍,瘻孔が出現し,当科を受診した。臨床像と経過から化膿性汗腺炎の重症と診断した。初診 4 週後よりアダリムマブ投与を開始し,導入 6 週後には瘻孔や膿瘍はすべて瘢痕化した。その後も治療を継続し,症状の再燃がないため,導入 26 週後より投与間隔を延長したが,現在まで再燃なく経過している。症例 2:58 歳,男性。臀部の膿瘍を認め当科を受診した。 化膿性汗腺炎の重症と診断し,初診 2 週後よりアダリムマブ投与を開始した。導入 4 週後には症状は軽快した。導入 9 週後にアダリムマブ投与を終了し,初診 12 週後にデブリードマンおよび植皮術を行った。 術後,症状の再燃はみられていない。化膿性汗腺炎の病態は,かつては細菌感染と考えられていたが,最近では自己炎症性疾患とする考えが主流となっている。近年,病態に重要な因子をターゲットにした生物学的製剤の有効性を検証する臨床試験が多数施行されており,本邦でも 2019 年 2 月に抗 TNF-α 抗体製剤であるアダリムマブが保険適用された。今後も化膿性汗腺炎の原因の理解が深まることで新規薬剤誕生が期待される。また,更なる症例の検討により,症状改善後のアダリムマブの投与方法の議論も必要である。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (4), 277-280, 2023-08-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (7)*注記

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