12歳男児の上顎骨に発生した巨大な若年性骨形成線維腫の1例

DOI
  • 佐藤 有里子
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 齊藤 芳郎
    昭和大学歯学部口腔外科学講座口腔腫瘍外科学部門
  • 宮本 裟也
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 安部 勇蔵
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 安田 有沙
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門
  • 佐藤 仁
    昭和大学歯学部口腔外科学講座口腔腫瘍外科学部門
  • 船津 敬弘
    昭和大学歯学部小児成育歯科学講座
  • 嶋根 俊和
    昭和大学歯学部口腔外科学講座口腔腫瘍外科学部門
  • 代田 達夫
    昭和大学歯学部口腔外科学講座顎顔面口腔外科学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Large juvenile ossifying fibroma in the maxilla of a 12-year-old boy: A case report

この論文をさがす

抄録

骨形成線維腫は,セメント質や骨様の硬組織形成を伴う線維性結合組織の増生からなる良性腫瘍である.15歳以下に発生し,急速に成長するものは若年性骨形成線維腫と言い,稀な疾患である.今回われわれは,上顎骨に生じた巨大な若年性骨形成線維腫の1例を経験したので報告する.症例は12歳,男児.半年前より上顎前歯部の腫脹が生じ,急速に増大してきたため精査・加療目的に当科を受診した.右側上顎第一小臼歯から右側上顎中切歯にかけて,唇側および口蓋側に無痛性膨隆を認めた.パノラマX線およびCTでは,右側上顎第一大臼歯から左側上顎犬歯にかけて内部に不規則な構造を有した硬組織が散在する境界明瞭な透過性病変が認められた.上顎骨腫瘍の臨床診断の下,全身麻酔下に腫瘍摘出搔爬術を施行した.病理組織学的には,大部分を錯綜する太い膠原線維束の増生からなる線維組織であり,その中にセメント質様の小球状の石灰化物や小塊状の骨様石灰化物の散在を認めたことから,骨形成線維腫と診断した.患児は12歳であり,急速な腫瘍増大を伴うことより,最終診断は若年性骨形成線維種と診断した.術後2年が経過したが,明らかな再発は認めない.本腫瘍の再発率は高く,今後も慎重な経過観察を行う予定である.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ