原型制作の痕跡にみる「素材感が導く彫刻造形」に関する一考察

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タイトル別名
  • A Study on “Sculpture Formation Guided by Materiality” in the Traces of Esquisse Production

抄録

本論は、造形材料と作家の関わりに焦点を当て、素材感と彫刻造形の関係に新たな考察を与えることを目的とする。研究に際しては、技法書における素材論を検証し、併せて素材に対するアプローチに特徴の作家として佐藤玄々、長谷川昻、淀井敏夫を取り上げた。調査に際しては、作品及びその制作過程を示す原型に焦点を当て、これらについて実見・熟覧することで素材に関わる作家の姿勢と思想を考察した。結論として、素材感を示すテクスチャは、表面的な様相を示すだけのものではなく、作家にとっては自身の造形の導く要素ともなることが示唆された。素材は、制作行為の間に絶えず作家に関与し続けるものでもある。彫刻は、作家と素材との距離感が近い芸術領域であることは自明のことで、制作を実践している多くの彫刻家たちによって触覚的な芸術として位置づけられている所以もその点にあると考察する。実際に作家たちの原型制作に焦点を当て、その痕跡を検証したことで、それぞれの制作行為そのものに素材のイメージが内包されていた論考を得るに至った。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390860322095810048
  • DOI
    10.57319/jsculpture.22.0_29
  • ISSN
    27580423
    24369217
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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