好中球増加症を契機に診断されたG-CSF産生多発性骨髄腫

書誌事項

タイトル別名
  • Granulocyte-colony stimulating factor-producing multiple myeloma presenting with neutrophilia
  • コウチュウキュウ ゾウカショウ オ ケイキ ニ シンダン サレタ G-CSF サンセイ タハツセイ コツズイシュ

この論文をさがす

抄録

<p>症例は71歳の女性。食欲不振と嘔吐を主訴に当科を受診した。著明な好中球増加症とIgA-κ型M蛋白を認め,骨髄中に形質細胞の増加を認めた。血清granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)濃度は160 pg/mlと高値で,CSF3R-T618I変異は認めなかった。抗G-CSF抗体を用いた免疫組織化学(IHC)では一部の形質細胞で陽性であり,G-CSF産生骨髄腫と診断した。Daratumumab, lenalidomide, dexamethasone治療により血清G-CSF濃度と好中球数は正常化した。G-CSF産生骨髄腫の報告例は少なく,M蛋白血症を伴う慢性好中球性白血病として報告されてきた。これまでの報告から血清G-CSF値測定や抗G-CSF抗体によるIHC,CSF3R遺伝子変異解析等の手法が鑑別診断に有用であると考えられた。G-CSF産生骨髄腫の詳細な臨床像や長期予後は未だ不明である。今後さらなる症例の蓄積と検討が必要である。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 64 (8), 735-740, 2023

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ