ハリバドラ著『現観荘厳論釈』の新出梵文写本について

  • 般灯
    Lecturer, Shenyang Falun Temple, Ph.D.

書誌事項

タイトル別名
  • Newly Identified Sanskrit Manuscripts of the Abhisamayālaṃkāravivṛti of Haribhadra
  • Newly Identified Sanskrit Manuscripts of the Abhisamayalamkaravivrti of Haribhadra

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抄録

<p> 天野宏英が2000年に出版したハリバドラ作『現観荘厳論釈』の批判校訂版は,ネパールで発見された「Ms. N1」「Ms. N2」という二つの『現観荘厳論釈』の貝葉写本を利用している.しかし,「Ms. N1」は第七葉を欠き,「Ms. N2」は九葉しかないものであったため,「Ms. N1」「Ms. N2」は不完全な写本である.筆者は北京大学で『現観荘厳論釈』に関する新たな写本を発見した.この写本は,以前,中国民族図書館(略称:CEL)に所蔵されていたが,現在,西蔵博物館に所蔵されているため,「写本T1」と命名する.新出写本には「Ms. N1」の欠落部分が含まれるため,非常に重要な写本であると考えられる.この新出写本は,CEL No.13の二十葉(十七葉完全,三葉破損)と,CEL No.17の破損している二葉からなる.CEL No.17の破損した二葉は,CEL No.13の破損した三葉のうちの二葉と一致し,完全な二葉を組成できる.また,『羅炤目録』の中に,CEL No.13とほぼ一致する写本に関する記述がある.この写本は仏教学者であるヴィブーティチャンドラ(Vibhūticandra,1170-1230)が書写したものである可能性が高い.彼は三度チベットに行き,多くの梵文写本を書写したと伝えられる.さらに,本論文は,「Ms. N1」の欠落部分に相当する「写本T1」第六葉のDiplomatic Editionを収録している.</p>

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参考文献 (1)*注記

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