<i>Kalpitopamā</i> in the <i>Saptakumārikāvadāna</i>

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  • <i>Saptakumārikāvadāna</i>に見られるkalpitopamāについて
  • Kalpitopama in the Saptakumarikavadana

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Abstract

<p> 仏教詩人ゴーパダッタ(5-8世紀頃)のSaptakumārikāvadāna(SKA)は仏教説話集成Jātakamālāの一部をなしていたと推定される美文詩作品である.本論文は,ゴーパダッタが用いる直喩(upamā)の例に注目し,同作品がサンスクリット詩文学の歴史の流れの中にどのように位置づけられるかという問題を検討するものである.</p><p> インドの諸詩論家は,直喩の構成に関する様々な規則を定めており,1つの限定句が喩えるものと喩えられるもののいずれか一方だけを限定する直喩を用いることを禁じる.彼等によれば,喩えるものと喩えられるものを限定する2つの意味を1つの限定句に与えるか,同一属性を表す2つの限定句で喩えるものと喩えられるものを1つずつ限定する形で直喩を組み立てなければならないという.前者は〈掛詞による直喩〉(śleṣopamā)と呼ばれ,後者は〈空想される直喩〉(kalpitopamā)と呼ばれる.</p><p> SKAには直喩の用例が8例見られる.これらの用例を検討すると,7例が〈掛詞による直喩〉にも〈空想される直喩〉にも分類されないことが判明する.この事実だけに注目すれば,SKAは詩論家が求める水準を満たしていない作品であると解釈できる.しかし,ゴーパダッタのJātakamālāの詩節が土着辞典の註釈書に引用されている事実は同作品が知識人の間で広く読まれていたことを示唆する.また,仏教美文詩には文体表現よりも語りを重視する傾向が一般的に認められる.以上を踏まえると,SKAは詩論上の諸規則を厳密に守ることを前提とせず,物語材源とされた仏教説話の筋を忠実に再現して提示することを主たる目的として書かれた作品であるとも解釈できる.</p>

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