当院における過去11年間の乳幼児新鮮熱傷症例の検討

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  • A Review of Fresh Infant Burn Cases in Kansai Medical University Hospital Over the Past 11 Years

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抄録

<p> 【目的】小児熱傷は日常的に遭遇頻度の高い疾患である. なかでも特に乳幼児の熱傷の割合は高い. 今回われわれは, 関西医科大学附属病院を受診した過去11年間の乳幼児熱傷患者について検討したので報告する.<br> 【方法】2011年1月から2021年12月までの11年間に関西医科大学附属病院を受診した乳幼児の新鮮熱傷患者184症例について, 症例数の推移, 性別, 受傷年齢, 初診時診療科, 入院/外来種別, 受傷部位, 受傷面積, 受傷深達度, 受傷原因と原因種別の検討を行った.<br> 【結果】全期間を通して, 熱傷患者は緩やかに減少していたが, 乳幼児患者が占める割合は約20%とほぼ変化はなかった. 性差はほぼなく, 生後6ヵ月から1歳児の受傷が多かった. 初診時対応は形成外科が多く, 外来通院で診療を行った患者が多かった. 受傷部位は背臀部をのぞいて, 頭部顔面, 胸腹部, 上肢, 下肢, 手指と多部位に及び, ほぼ差はなかった. 受傷面積は5%TBSA以下が約80%を占め, 深達度はSDBが最も多かった. 受傷原因は加熱性液体が多く, なかでも熱湯汁類が約70%を占めた. 熱湯汁類の詳細原因としては, 検討期間を前後半で分けて考えた際, 症例数として電気ケトルによる受傷が増加していた.<br> 【考察】乳幼児新鮮熱傷症例は減少傾向であった. 受傷原因として, 熱湯汁類が3分の2を占め, 特に電気ケトルによる熱湯が増加している反面, 他の原因での熱湯はおおむね減少していた. 電気ケトルを保有する家庭が近年増加していることが理由の一つと考えられ, その危険性について乳幼児をもつ家庭, 医療機関や企業やマスコミにおいて, 情報を共有し対策を行う必要があると考えられる. </p>

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 49 (3), 111-116, 2023-09-15

    一般社団法人 日本熱傷学会

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