夏季の霞ヶ浦における湖岸と湖心の水温

  • 小室 隆
    国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 東京大学大学院新領域創成科学研究科
  • 杉野 史弥
    東京大学大学院新領域創成科学研究科
  • 山室真澄 真澄
    東京大学大学院新領域創成科学研究科 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Water temperature at the shore and center of Lake Kasumigaura during summer
  • カキ ノ カスミガウラ ニ オケル コガン ト コシン ノ スイオン

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抄録

<p> 地球温暖化に伴い,陸水域でも水温が上昇する可能性が懸念されている。国内では霞ヶ浦のように水温が上昇している湖がある一方,児島湖のように水温が低下している湖もあり,気候変動による影響はそれぞれの湖で異なる。しかし,これらで扱われている水温データは沖合,特に湖心部で観測されている例がほとんどであり,主に湖岸付近を利用する魚類や二枚貝に与える温暖化の影響を湖心水温のみから推測できるかは確認されていない。<br> 本研究では,2021年8月から9月にかけて霞ヶ浦の湖岸5地点において水温の連続観測を行い,湖心水温と比較した。調査期間中の平均水温では,各地点に大きな違いは見られなかった。しかし,湖岸では夏季の水温が30°Cを超える回数が平均182回だったのに対し,湖心部は36回だった。そこで,8月中の水温が30°Cを超えるデータについて統計解析を行ったところ,湖岸3地点において水温が湖心より有意に高かった。<br> 本研究で示されたように,高水温期の湖心と湖岸における水温は大きく異なることから,地球温暖化が湖の生態系に与える影響については湖岸での観測結果を合わせた予測や対策が重要と考えられる。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 83 (3), 197-205, 2022-09-25

    日本陸水学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (12)*注記

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