地方圏におけるアニメーション制作現場の課題と展望

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タイトル別名
  • Problems and Prospects of Animation Production Sites in Regional Areas

抄録

<p>国内外問わず,創造産業やコンテンツ産業といったクリエイティブな産業は大都市に集積していることが指摘されてきた.日本においても,アニメーション産業やビデオゲーム産業は大都市である東京都に産業集積を形成している.本発表で扱うアニメーション産業も東京都に85%が集中しており,都内の制作会社の数は2020年時点で692社に及ぶ.東京都の制作会社数は増加傾向にある一方,全国の制作会社数に占める割合は減少傾向にある.これは,アニメーション産業の地方進出を示しており,地方圏においてもアニメーション制作ができる環境が形成されるようになったといえる.</p><p> アニメーション制作会社の地方進出に関する研究の蓄積は未だに浅い.現段階で地方に進出している企業に関する学術的な分析は,今後の地方圏における産業誘致策やアニメーション制作会社の立ち上げに大きな意義をもたらすと考えられる.以上のことから,本研究では地方圏に立地するアニメーション制作会社の取引ネットワークや成立過程,地域とのつながり等に着目し,現時点での地方でのアニメーション制作の現状を整理することを目的とする.本研究はアニメーション制作に関連する企業や団体・個人に対する聞き取り調査をもとに分析・考察を行った.</p><p> 課題を整理すると,地方で制作を続ける上で問題になってくるのは,取引ネットワークの構築と市場の確保であった.取引ネットワークが構築されていなければ,仕事を請けることも発注することもできない.また,地方において市場が確保されていなければ,東京の制作会社の下請けとしての機能が大きくなり,地方で制作を行うメリットが薄れてしまう.これらの二つの問題を解消することが,地方での制作を持続的に行うために必要な要素である.</p><p> なお本発表は,地方におけるアニメーション制作現場に関する調査の経過報告であり,あくまで事例に過ぎない.今後調査をさらに進め,地方進出が進むアニメーション産業の全体像の把握に努めていく.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390860553711795712
  • DOI
    10.14866/ajg.2023a.0_126
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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