急速な両眼視力低下と視野障害を来した胃癌髄膜癌腫症の1例

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タイトル別名
  • A Case of Meningeal Carcinomatosis of Gastric Cancer-causing Rapid Loss of Visual Acuity and Visual Field Defects in Both Eyes

抄録

<p> 急速に進行する視力・視野障害が先行し,頭痛やうっ血乳頭などの頭蓋内圧亢進症状がみられず,頭部造影magnetic resonance imaging(MRI)検査で視神経鞘に造影増強効果が認められた胃癌患者を経験し,胃癌細胞の視神経への直達浸潤による髄膜癌腫症を経験したので報告する.</p> <p> 症例は50代,女性.X-2年に進行胃癌に対して,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行され,術後補助化学療法を施行されたが,腹膜播種として再発が認められた.化学療法中より両眼性の霧視を自覚した.初診時,両眼に急速に進行する視力低下と動的視野検査で盲中心暗点が認められた.前眼部および眼底の視神経乳頭に特記すべき異常所見はみられなかった.頭部造影MRI検査で両眼性に複数の脳神経と視神経周囲および視神経鞘に造影効果が示された.胃癌の髄膜播種の可能性を考慮し,髄液検査を施行すると,髄液細胞診でClass V 陽性,Adenocarcinomaが検出され,胃癌髄膜癌腫症と診断された.</p> <p> 担癌状態の患者に頭蓋内圧亢進症状を伴わない急速な視力低下や視野障害が認められる場合には,髄膜癌腫症による癌細胞の視神経への直達浸潤を念頭に置く必要がある.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 40 (3), 254-259, 2023-09-25

    日本神経眼科学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390860553711902976
  • DOI
    10.11476/shinkeiganka.40.254
  • ISSN
    21882002
    02897024
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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