規制緩和期の軽油価格に関する考察

DOI
  • 桐野 裕之
    一般社団法人京阪マーケティング・リサーチ機構

書誌事項

タイトル別名
  • ガソリンと軽油の流通特性の比較を通して

抄録

日本の石油業界は,1987 年から 2001 年にかけて実施された一連の規制緩和により,大変厳しい競争状態に陥り,ガソリン価格が大幅に下落した。しかしながら,同時期の軽油価格は規制緩和の影響を殆ど受けておらず,ほぼ横ばいの推移だった。これまでの複数の先行研究では,当時のガソリン価格の下落は,規制緩和によりもたらされた「非系列品流通量の拡大」と「セルフ SS の急増」の 2 つの要因によるとされている。そこで本研究では,なぜこれらの要因が軽油価格には影響を及ぼさなかったのかの考察を試みた。  結果として,以下の 2 点が明らかになった。1 点目は,軽油は規制緩和前から低価格・低マージン商品であったため,「非系列品流通量の拡大」に価格が影響を受けなかったこと,2 点目は,軽油の用途上或いは販売形態上,セルフ SS での販売量が少ないため,「セルフ SS の急増」も価格に影響を及ぼさなかったことである。  即ち,規制緩和による価格低減効果は,ガソリン価格に関しては現出したが,軽油には見られなかったと言える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390860609162477952
  • DOI
    10.57471/apdmj.20.1_5
  • ISSN
    27583872
    18800297
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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