頚部内頚動脈解離を合併した破裂中大脳動脈瘤の1例

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タイトル別名
  • A Case of Ruptured Middle Cerebral Artery Aneurysm with Cervical Carotid Artery Dissection

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抄録

<p>今回われわれは,くも膜下出血に頚部内頚動脈解離を合併した症例を経験したため報告する.症例は47歳,男性.仕事から帰宅後に後頚部痛を自覚した.翌日に意識障害を呈している状態で発見され,当院に救急搬送された.頭部CTで脳底槽にびまん性のくも膜下出血を認め,3D-CTAでは左中大脳動脈分岐部に囊状動脈瘤を認めた.左中大脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の診断で,開頭クリッピング術を行った.第5病日に施行したMRI検査で左頚部内頚動脈の狭窄を認め,intimal flapを伴っていたことから左内頚動脈解離を疑った.あらためて入院時の3D-CTAを確認したところ左内頚動脈の狭窄があり,来院時にはすでに発症していたと考えた.また,島皮質に脳梗塞があり,頚動脈解離に伴い脳梗塞を発症した可能性が否定できなかった.第11病日に施行した血管造影検査では内頚動脈起始部にstring signがあり,内頚動脈解離と診断した.第22病日に施行した3D-CTAで狭窄の改善がなかったため第32病日に頚動脈ステント留置術を行った.術後の経過に問題なく,第44病日にmodified Rankin Scale(mRS)0で自宅退院とした.意識障害に先行して後頚部痛があった病歴を考慮し,本症例は頚部内頚動脈解離後にくも膜下出血を発症したと考えた.本症例のように病歴の中で頚部痛を伴っていた場合は,頚部動脈解離の合併も考慮する必要がある.</p>

収録刊行物

  • 脳卒中の外科

    脳卒中の外科 51 (5), 448-452, 2023

    一般社団法人 日本脳卒中の外科学会

参考文献 (4)*注記

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