広島県のモロコシソウの生育状況について-2022年時点の状況-

書誌事項

タイトル別名
  • Current status of Lysimachia sikokiana Miq. (Primulaceae) in Hiroshima Prefecture, SW Japan, as of 2022
  • ヒロシマケン ノ モロコシソウ ノ セイイク ジョウキョウ ニ ツイテ : 2022ネン ジテン ノ ジョウキョウ

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抄録

広島県の稀少種のモロコシソウLysimachia sikokiana Miq. の2022 年時点での生育状況について報告とその保護のための基礎情報の提供を行った.広島県宮島は本種の分布の北限に近く,植物地理学的に重要なモロコシソウの生育地である.今回の調査により,宮島でみられるモロコシソウの植物体の高さは一般的なそれよりも小さい傾向が見られた.この原因についてはWright 効果や分布が北限に近いことに加えて環境の悪化などが考えられた.さらに地域個体群が消失しつつあり,残された個体群でも個体数の減少や生育の不良が見られた。それらの原因として林冠ギャップの修復に伴って環境が変化していることや,台風によって引き起こされるような撹乱が近年で発生しておらず,新しいギャップが生じていないことなどが示唆された.今回の結果は宮島のモロコシソウの逼迫した現状を明らかにし,林冠ギャップの管理や域外保全の必要性を示した.

収録刊行物

  • ヒコビア

    ヒコビア 18 (4), 265-272, 2022-12-28

    ヒコビア会

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