116 keV の高エネルギー放射光を用いた蛍光X線分析による古代ガラスの非破壊重元素分析法の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Nondestructive Heavy Elemental Analytical Method of Ancient Glass Artefacts Using High-Energy (116 keV) Synchrotron Radiation X-Ray Fluorescence Spectrometry
  • 116keV ノ コウエネルギー ホウシャコウ オ モチイタ ケイコウ Xセン ブンセキ ニ ヨル コダイ ガラス ノ ヒハカイジュウ ゲンソ ブンセキホウ ノ カイハツ

この論文をさがす

抄録

<p>116 keVの高エネルギー放射光を用いる蛍光X線分析法を古代ガラスに非破壊で適用し,起源推定に有用な希土類元素を含む微量重元素の分析を試みた.古代ガラスの分析に先立ち,試料厚によるスペクトル形状への影響を検証した結果,30~60 keVのエネルギー範囲においてはコンプトン散乱線による強度の規格化が有効であることが分かった.19元素(Cs,Ba,希土類元素,Hf,Ta,W)について検出限界および定量下限を算出し,LA-ICP-MSにより得られた後期青銅器時代のエジプトおよびメソポタミアガラスの文献値の濃度範囲と比較した結果,希土類元素に着目することで,本分析法は非破壊で両者を判別できる感度をもっていることが示された.そこで実際に後期青銅器時代のエジプトおよびメソポタミアのガラスを分析したところ,希土類元素のピーク強度に有意な違いが見られた.起源推定の例として,エジプトおよびメソポタミアからガラスの輸入を行っていたとされる同時代のギリシャ(ミケーネ)のガラスを分析したところ,エジプトのガラスと同様に様々な希土類元素が検出され,エジプトから輸入されたものであることが示された.このミケーネのガラスについて,感度係数を用いた重元素の定量化を行ったところ,破壊分析で示されていた類例の文献値と非常によく一致した.以上より,本法による古代ガラスの非破壊重元素分析の有用性が示された.</p>

収録刊行物

  • X線分析の進歩

    X線分析の進歩 45 (0), 251-268, 2014-03-31

    公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ