発達障害児の不安症状軽減のための家族認知行動療法の有効性と母親の介入前の不安症状との関連:混合研究法による検討

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タイトル別名
  • Efficacy of Family Cognitive Behavioral Therapy for Anxiety Symptoms in Children with Developmental Disabilities and its Association with Maternal Anxiety at Pre-treatment: A Mixed Methods Study

抄録

<p>近年の国外の研究では,発達障害児の不安症状に対する家族認知行動療法(FCBT)の有効性を検討するにあたり,子どもの不安症状と親の不安症状との関連が注目されている。本研究では,混合研究法により質的および量的なデータを統合し,介入前の母親の不安症状の程度がFCBTの有効性に及ぼす影響と,介入による個々の参加者の気付きや状態・行動の変化について検討した。子どもの不安症状軽減のためのFCBTプログラムに参加した6~12歳の発達障害児をもつ母親を,不安低群(n=19)と不安高群(n=5)に二分し群間の相違を検討した。量的分析では,プログラムの取り組み方や,養育態度,養育ストレス,子どもの不安症状における介入の有効性等で有意な群間差はなかったが,親の不安症状の変化で相違がみられた。一方,質的分析により,介入期間中の気付きや行動,状態の変化の側面で両群間の相違が示された。また量的と質的な分析結果を統合し,介入前の不安症状の程度による介入中の経験の相違を詳細に示した。最後に,介入前の母親の不安症状の程度に応じた,発達障害児の不安症状への介入方法が考察された。</p><p>【インパクト】</p><p>発達障害児の不安症状への介入時に,母親の不安症状にも直接的な介入が加えられた結果,介入前の不安症状が高い母親でもプログラムの取り組みが進んだため,両群において,親自身や子どもに対する介入の効果が得られた。また,混合研究法を用い,質的および量的データを統合したことで,発達障害児の不安症状への介入方法における母親の不安の程度に応じた実践方法が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 34 (3), 194-207, 2023

    一般社団法人 日本発達心理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390860719524168960
  • DOI
    10.11201/jjdp.34.194
  • ISSN
    21879346
    09159029
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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