右胸腔内出血を伴った縦隔内膵仮性嚢胞穿破の 1 例

DOI
  • 田村 志宣
    和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座 紀南病院 内科
  • 蒸野 寿紀
    紀南病院 内科 和歌山県立医科大学 血液内科学講座 和歌山県立医科大学 地域医療支援センター

書誌事項

タイトル別名
  • A case of mediastinal pancreatic pseudocyst rupture with right intrathoracic bleeding

抄録

75歳男性が,労作時の息切れを主訴に来院した。血液検査では,軽度貧血と血清アミラー ゼ軽度上昇を認めた。胸部X線で右大量胸水を認め,胸腔穿刺の結果,血性胸水であった。 造影CT検査では,膵仮性嚢胞を認めたが,影剤の血管外漏出は認めなかった。局所麻酔下胸腔鏡検査で,腫瘍と活動性出血は認めなかった。胸腔鏡検査後の造影CT再検査で,空気を含む膵仮性嚢胞を認められた。これら所見より,この嚢胞は縦隔を介して胸腔内に交通していると考えられた。胸水アミラーゼ値は, 17,710 IU/L と著明に高値を示した。以上より,本症例は,慢性アルコール性膵炎と縦隔内膵仮性嚢胞の胸腔内穿破に伴う右胸腔内出血と診断した。急性膵炎に準じた保存的治療にて水の再貯留は認められなかった。胸水や胸腔内出血を伴う縦隔内膵仮性嚢胞は,稀ではあるが,慢性膵炎に伴う重要な合併症の一つである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390860786075114240
  • DOI
    10.60227/jhgmwabun.19.3_190
  • ISSN
    27587878
    21858136
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ