小児の片側性外傷性顎関節強直症に対して顎関節開放授動術を施行し20歳まで経過観察を行った1例

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  • Follow-up results of a 20-year-old after temporomandibular joint open surgery for unilateral traumatic ankyloses: A report of a pediatric case

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抄録

<p>小児の片側性顎関節強直症に対して顎関節開放授動術にてGap形成を行い,成人まで経過観察を行ったところ良好な結果を得られたので,その臨床経過について報告する。患者は12歳の女児,右側関節突起骨折に継発した顎関節強直症(Sawhney分類TypeⅢ)であった。初診時,下顎は患側にわずかに偏位し,上下顎切歯間での開口域(MOR:mouth opening range)は11 mmであった。</p><p>14歳時,患者自身が手術後からの疼痛を伴う開口練習に取り組む決意をしたため,顎関節開放授動術を施行した。手術の第一段階としては,右側顎関節内側部に残存する正常顎関節構造を温存しつつ,外側の骨性癒着部にGap形成術を応用し,Gap形成部に側頭筋・筋膜弁を挿入固定した。さらに,健側の側頭筋を筋突起から剥離することで,50 mmのMORが得られた。手術翌日から開口練習を開始し,手術後10日目には40 mmの開口域となった。その後も開口練習を継続し,術後6年経過した時点においてもMORは40 mmを維持しており,顔面非対称や下顎運動障害は認められていない。以上より,手術と術後の顎運動練習の継続により正常な顎関節構造を保存したうえで,下顎の可動性を確保できたことが,本症例における下顎の成長障害を防止するための決定的な要因であったと考えられた。</p>

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