仮骨延長術を併用し顎裂にインプラント治療を行った唇顎口蓋裂患者の1症例

DOI
  • 五味 佳蓮
    山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座
  • 諸井 明徳
    山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座
  • 小野 すみれ
    山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座
  • 高山 明裕
    山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座
  • 井口 蘭
    山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座
  • 上木耕一郎
    山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Implant Treatment Using Bone Distraction Osteogenesis for Cleft Lip and Palate

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抄録

<p>唇顎口蓋裂患者は先天欠如歯を認めることが多く,顎裂部骨移植後に歯科インプラント治療が行われている.今回我々は,顎裂患者に対し歯科矯正治療と仮骨延長術を併用し,顎裂架橋と歯科インプラント治療(以下,インプラント治療)を行った1例を報告する.</p><p>患者は38歳女性.唇顎口蓋裂に対し口唇・口蓋形成術,下顎枝矢状分割術を受けるも,顎裂部は加療を受けなかった.顎裂部へのインプラント治療目的に2016年9月に当科紹介受診となった.上顎左側側切歯の先天欠損,左側顎裂の残存,上顎後退症を認めた.そのため,術前矯正治療を開始し,上顎左側第一小臼歯部の歯槽骨切り術を施行し,側切歯相当部へ歯列矯正装置を利用し仮骨延長術を行った.歯-歯槽骨移動により新生した骨に歯科インプラントを埋入した.術前矯正終了後に上顎Le FortⅠ型骨切り術を施行し,術後矯正後の2019年4月に上部構造を装着した.2022年4月の時点で顎位は安定し,側貌の改善を認め,歯科インプラントの経過も良好である.</p><p>顎裂部閉鎖と歯列矯正のために歯槽骨切りを用いた仮骨延長術を併用することで,顎裂閉鎖の手術侵襲が軽度となった.また,仮骨延長部の周囲軟組織が再生し,歯科インプラントの良好な清掃性を確立できた.</p>

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