宍道湖における定置網による魚類と甲殻類漁獲量の長期変化

  • 石飛 裕
    特定非営利活動法人自然と人間環境研究機構

書誌事項

タイトル別名
  • Long-term changes in fish and crustacean catch by set-net in Lake Shinji
  • シンジコ ニ オケル テイチアミ ニ ヨル ギョルイ ト コウカクルイ ギョカクリョウ ノ チョウキ ヘンカ

この論文をさがす

抄録

<p> 山陰地方の宍道湖には,暖候期に下流部の中海から遡上する海産魚と汽水魚と甲殻類がおり,多くの淡水魚,汽水魚,通し回遊魚,海産魚と甲殻類が生息する。これらの魚介類を対象とする定置網漁業などが盛んに行われていたが,1993年の冷夏多雨と1994年の猛暑渇水の異常気象を境に,ワカサギなど主要な対象魚の漁獲量が減少し漁業が衰退した。ところが,ネオニコチノイド系殺虫剤の使用が始まった1993年以降,宍道湖の動物プランクトンやオオユスリカなどの水底動物が激減し,これらを餌とするワカサギとニホンウナギの減少に繋がったことを示す研究が2019年に公表された。しかしながら,この2種とシラウオを除くその他の魚介類の変動との関係は示されていないので,宍道湖漁業協同組合に保管されている1979~2008年度までの定置網の漁獲資料から魚介類8種の漁獲量の変動を検討した。その結果,年度毎の変動は見られるものの,1995年度以降,ワカサギとニホンウナギとハゼ類の漁獲量は減少していた。同じく1995年度以降,エビ類の漁獲量は9~12月に減少しアミ類は1~3月に増加していた。これら魚介類の変動を,年毎の塩分と水温の変動と1993年から始まったネオニコチノイド系殺虫剤の使用から考察した。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 84 (1), 53-64, 2023-02-25

    日本陸水学会

参考文献 (8)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ