高分子クレーズ内ボイドのヒーリングとクレーズ相成長

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タイトル別名
  • Healing of Voids in Crazed Polymers and Their Growths of Craze Phases

抄録

<p>高分子が破壊するときの初期現象であるクレーズのもつ相内ボイドが環境( 周囲) 温度に応答して閉孔する機構を,主にクリープ変形現象を利用した解析手法によって検討した。通常,高分子多孔材料内のボイドは母体樹脂の融解に伴って閉孔する。しかしながら,クレーズ内のそれは融点より低い温度,かつ母体樹脂種に関わらず,常に60℃近傍で閉孔運動( 以下,ヒーリング) を開始することが確認されている。我々は,すでに当該ヒーリングがボイドのもつラプラス圧と接触環境との界面自由エネルギーに起因した現象であることを報告しているが,本研究において,ヒーリング開始温度前後でクレーズ内ボイドに発生させたクリープ変形から上記要因の追認を行った結果,以下のことが明らかとなった。クレーズ発生試料に対し,クリープ進行温度条件下で当該測定を行ったところ,母体樹脂の加熱伸長および収縮を伴わない試料長変位の減少が観測された。また,この変位挙動はクリープ時の印加張力に強く依存した。さらに,クレーズ内ボイドの界面環境を気体から液体に置換した際のヒーリング開始温度は,対気体より対液体界面の方が上昇した。このとき,前者より後者の界面自由エネルギー( 界面張力) は低下しているため,これがヒーリング現象と密接に関わっていることをあらためて確認した。加えて,この界面張力と各温度でボイド近傍にはたらく力学応力の均衡状態によって,クレーズ相の微多孔構造に差異が生じることが判明した。</p>

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参考文献 (18)*注記

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