胸水セルブロックが診断に有用であった心臓血管肉腫の 1 例

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  • A case of primary angiosarcoma of the heart in which preparation of cell blocks from pleural fluid was useful for the diagnosis

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抄録

<p>背景:乳癌と心臓血管肉腫の同時重複がん患者の右血性胸水に対しセルブロック作製により診断確定に至った症例を経験したので報告する.</p><p>症例:患者は 40 歳代,女性で,呼吸困難と全身性浮腫を主訴に前医を受診した.精査で大動脈・右心房を取り囲む腫瘤,心囊液貯留,左乳房腫瘤が指摘された.心囊液の細胞診にて腺癌が疑われ,乳房腫瘤は生検組織診にて浸潤性乳管癌と診断されたため,心臓腫瘍の精査と治療目的に当院に転院となった.心臓腫瘍生検が施行され,血管肉腫と診断された.胸水貯留も認められ,細胞診にて悪性と判定し,異型細胞の由来特定のため胸水セルブロックを作製した.この胸水セルブロックを用いた免疫組織化学的検索により,胸水中の異型細胞は血管肉腫由来であると判断された.</p><p>結論:細胞形態学的診断に苦慮する症例において,セルブロックを用いることにより,同一の細胞塊から複数切片の作製および免疫染色による検討ができ,腫瘍細胞の特定,原発巣の推定が可能となる.今回,同時重複がん患者の胸水中に出現した異型細胞の由来特定に苦慮する症例を経験し,体腔液の診断におけるセルブロックの有用性を再認識した.</p>

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