ラバーダム防湿の使用器材と術式による辺縁封鎖性の変化

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  • Changes in Sealing Performance with Rubber Dam Isolation Using Different Materials and Instruments

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抄録

<p> 目的:ラバーダム防湿は,制腐的な処置を行うために患歯を口腔内から隔離する方法として広く用いられている.その隔離性能が高いと考えられている一方,ラバーダムシートと患歯歯面の適合不良部から漏洩するリスクも指摘されている.近年,さまざまなラバーダムシートが登場しているが,シートごとの特性による術野隔離性能を比較した研究は少ない.本研究では,ラバーダム防湿時に用いるシートの種類による術野からの漏洩量の違いと,漏洩を生じた場合にその影響を減少させる方法の検討を行うことを目的とした.</p><p> 材料と方法:ラバーダムシートの適合不良部からの漏洩量を検出するために,人工歯を装着した顎模型に対して,素材や厚みの異なる4種類のラバーダムシートを用いてラバーダム防湿を行った.ラバーダム防湿を装着した歯に向けてエアタービンで注水した後,クランプ下に固定していたロールワッテの重量を精密はかりにて測定し,実験操作前後の重さを比較した.また,漏洩の改善法を検討するために,ラバーダム防湿後に患歯歯頸部全周に辺縁封鎖材(コーキング材)を応用し,前述の方法と同様にロールワッテの重量変化を測定した.</p><p> 結果:ラバーダムシートの種類で漏洩量を比較した結果,NLB群(薄いノンラテックスシート群)のみ漏洩によるコットンロール重量の有意な増加を認めた.また,実験後のLB群,LG群(ラテックスシート群)では,穿孔部辺縁を起始点とする偶発的裂開を認めた.ラバーダム防湿に辺縁封鎖材を加えた実験では,いずれの群においても有意な重量の増加は認めなかった.</p><p> 結論:ラバーダム防湿を行う際の漏洩は,ラバーダムシートの穿孔部辺縁の裂開にかかわらず生じ,辺縁封鎖材の使用によって改善できる可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 日本歯科保存学雑誌

    日本歯科保存学雑誌 66 (5), 283-289, 2023-10-31

    特定非営利活動法人 日本歯科保存学会

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