アンダーグラウンド・プレスにみる1970 年代コミューン運動の展開とヒッピーによる理想郷の模索

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タイトル別名
  • The 1970s Commune Movement and Searching for Utopia by Hippies in the Underground Press
  • アンダーグラウンド ・ プレス ニ ミル 1970ネンダイ コミューン ウンドウ ノ テンカイ ト ヒッピー ニ ヨル リソウキョウ ノ モサク

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抄録

アンダーグラウンド・プレスに投稿されたコミューンの情報を分析し、複数の類型と特徴パターンを見出すことから、フランスにおけるコミューン運動の全体像とヒッピーによる理想郷イメージを明らかにした。都市の社会運動や対抗文化を発端とするコミューン運動は、都市から農村へと拠点を移し、ユートピアを模索しながら活動を発展させてきた。都市に残存するコミューンは、政治・社会運動の性格を弱め、共同生活の場としての意味を有するようになった一方、オルタナティブな生活の実現を目指す若者たちは、農村にてアルティザン、自給自足、有機農業、畜産などを組み合わせた複合的生業で日々の糧を得ようとした。彼らが農村にて築こうとした理想郷イメージには、社会逃避や脱都市だけではなく、人間関係の修復や安らぎ、自然やエコロジーとの関わりが存在していた。コミューンの投稿からは一般のヒッピーイメージとは異なる側面が存在し、男女の社会的役割の超克を目指したコミューン運動も実際には性別的な役割が多方面で残存していたこと、ドラッグや宗教、政治、自由性愛とはむしろ距離を置くことでユートピアを築こうとしていたことが明らかとなった。

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