ホエールウォッチング船の観察記録から見た北海道オホーツク海沿岸および根室海峡における鯨類の出現パターン

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タイトル別名
  • Occurrence patterns and trends of cetaceans in the coastal waters of the Sea of Okhotsk and the Nemuro Strait, Hokkaido, Japan
  • ホエールウォッチングセン ノ カンサツ キロク カラ ミタ ホッカイドウ オホーツクカイ エンガン オヨビ ネムロ カイキョウ ニ オケル クジラルイ ノ シュツゲン パターン

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抄録

北海道のオホーツク海沿岸および根室海峡には一年を通して多様な鯨類が出現することが知られている.両海域では2006年からホエールウォッチング船が運航しており,鯨類の生態研究の重要なプラットフォームとなっている.本研究では,ホエールウォッチング船の観察記録をもとに,両海域の鯨類の季節的な出現パターンと経年変動を明らかにすることを目的とした.オホーツク海の網走沖と根室海峡の羅臼沖で運航するホエールウォッチング船の発見記録から,月ごとの出航日数,それぞれの種を発見した日数を集計した.発見が多かった種について発見率を求め,海域と鯨種ごとにその季節変動と経年変動を調べた.両海域とも,ミンククジラは春,イシイルカは夏,ツチクジラは秋に発見率が高くなった.カマイルカは7月に発見が多かったが,網走沖では9-10月にも発見があった.網走沖では羅臼沖と比較してミンククジラが観察される期間が長く,発見率も高かった.一方,羅臼沖では網走沖よりもイシイルカが観察される期間が長く,網走沖で発見が少ないシャチやマッコウクジラも高い確率で観察された.また近年,両海域ともミンククジラの発見率が低下しており,ナガスクジラの発見が増加している傾向がみられた.両種の個体数の変動に影響を及ぼしている要因は現在のところ不明だが,引き続きモニタリングを行い,両種の個体群動態の把握に努めることが重要である.

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