永久ペースメーカ留置5年後,肺に2度塞栓をきたした感染性心内膜炎の1例

DOI
  • 佐々木 惠佑
    独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 循環器内科
  • 出島 徹
    独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 循環器内科
  • 阪間 智哉
    独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 循環器内科
  • 落 裕之
    独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 循環器内科
  • 硯川 佳祐
    独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 循環器内科
  • 小林 俊一
    独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Infective Endocarditis With Twice Emboli in the Lungs After 5 Years of Permanent Pacemaker Implantation

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抄録

<p> 症例は75歳女性.70歳の時に洞不全症候群でペースメーカ植込み術を施行され,以降当院に通院していた.数日前からの倦怠感と食欲低下を主訴に受診となった.来院時発熱を認めて,精査目的に行った胸部単純CTで,すりガラス陰影を認めたことから肺炎と診断し加療目的に入院となった.抗菌薬加療を行ったが炎症再燃を認めたため,再度熱源精査を行った.胸部単純CTで肺炎の増悪を認め,経胸壁心エコーで三尖弁に17 mm程度の紡錘状疣腫を認めた.血液培養からStreptcoccus bovisが検出されたため,Duke診断基準の大基準1項目かつ小基準3項目を満たし,三尖弁の感染性心内膜炎と診断した.その他,弁には明らかな疣腫は認めなかった.同日より抗菌薬加療を開始した.経胸壁心エコーおよび経食道心エコーを施行したがペースメーカリードに明らかな疣腫は認めなかった.リードへの関与が明らかでない場合も完全なデバイスおよびリード抜去はクラス・であることから第35病日にデバイス抜去を施行した.なお留置後5年以上経過しており,癒着を考慮しエキシマレーザーシース使用し抜去を行った.その後ペースメーカリード培養も提出したが陰性であった.抗菌薬加療後,一度退院としたがその後右季肋部痛が出現.胸部単純CTで肺炎像を認め,また経胸壁心エコーでは三尖弁の疣腫が消失していた.敗血症性肺塞栓と診断し加療目的に入院.抗菌薬加療で速やかに改善し退院となった.本症例はペースメーカ留置5年後に生じた右心系感染性心内膜炎である.植込み型デバイスの台数増加により,右心系の感染症が今後増加する可能性がある.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 54 (11), 1292-1297, 2022-11-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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