ソフトボールの守備におけるプレッシャー下での失敗から成功に至るまでの思考の推移

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抄録

<p>スポーツ場面において失敗はつきものである。プレッシャー下で失敗をすると、その後のプレーでも失敗をする確率が高くなることがHarris et al.(2019、2021)により明らかにされた。しかし、プレッシャー下で失敗をした後のプレーにおいて成功を収める事例もよく見かける。このような場面での競技者の思考について知見は得られていない点から、本研究ではソフトボールの守備場面を取り上げ、プレッシャー下で1つの失敗が生じた後、同じ試合中にパフォーマンスの成功を収めた場面の思考の推移を明らかにすることを目的とした。 </p><p> 大学生以上のソフトボール競技経験者3名を対象に、個別に半構造化インタビューを行った。基幹質問項目は、①失敗場面の状況、②失敗前後の思考、③失敗後に用いた対処方略、④失敗後の周囲からの反応、⑤その後の成功場面の状況、⑥成功前後の思考、⑦成功後の周囲からの反応、⑧この時の思考・行動の自己評価とした。データ分析はSCAT(大谷、2008)を用い、各対象者の思考の推移についてストーリーラインを作成した。</p><p> ここでは1事例のストーリーラインを紹介する。A選手は、1点取られたら負けというプレッシャー場面で、重責と緊張感があり、1つの失敗が生じた。失敗直後は、後悔し頭が真っ白になった。さらに緊張感の増加が生じ不安感は継続されたが、次のプレーで直ぐに成功を収めた。成功後には安堵感とともに油断しない気持ちを抱き、集中力の継続を意識した。試合が進むにつれ、その後にも成功を収めたA選手は、反省は試合の後にすると決め、今に集中し、目の前のことを思い切りやることだけを考えていた。以上のように1試合中に、失敗→成功→成功を収めた事例で、1つ目の成功場面と2つ目の成功場面では異なる思考が見られた。2つ目の成功場面のような、失敗を引きずらず今に集中する心理状態を早い段階で身に付けることが望まれる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861305859926016
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_330
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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