他者の不安表情の知覚が実践的な運動パフォーマンスに及ぼす影響

DOI

抄録

<p>他者の感情が伝染する現象は情動伝染として知られているが, 情動伝染と運動パフォーマンスの関係を調べた研究はまだ少ない. 本研究では, 他者の不安表情を知覚することで生起する不安の情動伝染と実践的な運動課題における運動パフォーマンスの関係を調べた.  実験参加者13名に, 前方床に設置した的へ向けてボールを下手で投げる的当て課題を行わせた. ボールを投げる直前に他者の不安表情を見る不安条件を10試行, 中性表情を見る中性条件を10試行行わせた. 情動伝染生起の確認のため, 主観的指標として質問紙を用いて不安感情を測定し, 生理指標として表情筋 (前頭筋, 皺眉筋, 大頬骨筋) の筋電位を測定した. 運動パフォーマンスは的の中心を5点として中心から遠くなるに従い4~0点として測定した.  分析の結果, 中性条件よりも不安条件において不安感情が有意に高い傾向が認められた. また運動パフォーマンスは中性条件よりも不安条件において有意に低い傾向が認められた. 表情筋の筋電位に関しては前頭筋, 皺眉筋, 大頬骨筋のいずれにおいても有意差は認められなかった. 以上より, 他者の不安な表情を見ることで不安感情の情動伝染が生起してボールの下手投げという運動パフォーマンスが低下する可能性が示唆されたものの, 主観的指標と生理指標の不一致も確認される結果となった.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390861305859998208
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_337
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ