中学生県選抜ソフトボールチームにおけるメンタルトレーニングの試み

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Abstract

<p>中学生の県選抜ソフトボールチームにおいて、日本スポーツ心理学会が認定するスポーツメンタルトレーニング指導士の資格を持つ専門家の指導の下、メンタルトレーニングを実施した。このチームは、3月末に開催される都道府県選抜チーム対抗の全国大会に向けて、県内で選考会を重ね、選抜された14名の選手で構成された中学生の県選抜チームであった。選抜チームという特性上、練習は12月から翌年の3月にかけて、休日を活用して14回の練習会、1回の合宿を実施し、全国大会に出場した。その中で、9回の練習会および全国大会にスポーツメンタルトレーニング指導士が帯同し、メンタルトレーニングを中心とした選手に対する心理サポートを実施した。ここでのメンタルトレーニングの目的は、競技力向上(試合での実力発揮、練習の質の向上)であり、具体的な実施内容は、目標設定、リラクセーション・サイキングアップ、イメージ、集中力、プラス思考、セルフトーク、コミュニケーション、試合に対する心理的準備の8つの心理的スキルの習得を目指すものが中心であった。メンタルトレーニングの評価方法には、心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)を使用した。DIPCA.3は、メンタルトレーニング指導前と全国大会直前の2回実施して比較分析した。分析の結果、総合得点および競技意欲、精神の安定・集中、自信、作戦能力の4因子、忍耐力、闘争心、自己コントロール能力、リラックス能力、自信、決断力、予測力、判断力の8つの下位尺度において、有意な向上が見られた。大会では県勢として過去最高となるベスト8という成績を残し、大会後の選手からの内省では、「これからもメンタルトレーニングを続けていきたい」などポジティブな言葉が多く報告された。また、有効であった心理的スキルとして、特にリラクセーション・サイキングアップ、試合に対する心理的準備、プラス思考があげられた。</p>

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