軽度・中等度難聴だからこそ気を付けること 幼児・学童

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抄録

<p> 新生児聴覚スクリーニング (NHS) が浸透し, 先天性難聴児の診断から療育までは, 1-3-6 ルール, すなわち生後1カ月までに NHS, 生後3カ月までに診断, 生後6カ月までに補聴器装用と療育を開始するというタイムテーブルが標準化している. しかし一方で, 軽度・中等度難聴児では補聴器装用開始時期や補聴器適応聴力に明確な基準がなく, 診断や補聴導入の基準が不明確でその時期や必要性に迷うことが多い. その結果適切な補聴導入や療育を受けられていない児や, 中途で医療機関を受診しなくなる児も散見される.</p><p> 軽度・中等度難聴の発達への影響に関しては個人差もあるが,放置することにより影響は大きくなるため, NHS で要精密検査であった児では, 生後6カ月までには聴力レベルの診断を行うことを目指す. また補聴については, 30dB 以上であれば推奨されており, 特に 40dB 以上は1-3-6ルールに準ずるとする見解が支持されている.</p><p> 軽度・中等度難聴では学齢期以降に補聴器装用を拒否する例も少数ではない. 雑音下聴取も含めた語音明瞭度の評価や, 学力, 社会面も含めたアセスメントを行うこと, 聴取の状況や補聴への意識を鑑み, 課題を把握した上で, 本人の意向も踏まえたカウンセリングと補聴導入を行うことが重要である. 難聴児の抱える課題は個人差もあり, 年齢とともに変化するため, 長期にわたる伴走的支援を心掛けたい.</p>

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