複数形接尾辞「ら」「ども」の使い分けに関する一考察 : BCCWJ データを用いて<研究論文>

抄録

本稿は、複数を表す接尾辞「ら」「ども」における使い分けについて、国立国語研究所『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を用いて実態調査を行い、前接語に着目して考察を行った。調査の結果、全体的に「ら」と共起する前接語と「ども」と共起する前接語に二分化しており、「ら」は人称代名詞・人称代名詞以外の前接語ともに謙譲と蔑視の双方の意で用例がみられた。一方、「ども」は主に一人称代名詞「わたくし」と共起して謙譲の意で使用され、人称代名詞以外の前接語との共起では蔑視の意で使用される傾向にあることがわかった。さらに、「ら」に比べて「ども」の方が敬意と蔑視の両極の意が強く表れやすいことなども明らかになった。以上の結果を踏まえ、「ら」と「ども」の使い分けについて、話者の感情と指示対象との距離における関連性を示し、図式化した。また、日本語学習者への指導に関して、提示するポイントの提案を行った。

収録刊行物

  • さいたま言語研究

    さいたま言語研究 (7), 78-91, 2023-03

    埼玉大学大学院人文社会科学研究科日本語専攻内 さいたま言語研究会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ