ぶどう膜炎を合併した急性散在性脳脊髄炎の男子例

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  • A case of uveitis associated with acute disseminated encephalomyelitis

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抄録

<p> 急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis;ADEM)と診断・加療された後,ぶどう膜炎を発症した15歳男子例を報告する.けいれんを認め,頭部MRIで皮質下白質にT2強調像,FLAIR画像で多巣性の高信号を認めADEMと診断した.ステロイド療法を行い経過良好で外来で通院加療を行っていた.101病日頃より眼球結膜充血と眼痛,視力低下を認め,汎ぶどう膜炎の診断となった.若年性慢性虹彩毛様体炎,若年性特発性関節炎,尿細管間質性腎炎ぶどう膜炎症候群,Behçet病などに伴うぶどう膜炎を考慮し各種検査を行ったが有意な所見は認めなかった.また多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)の可能性も考え注意深く経過を追ったが再発なく経過し,頭部MRIでも新たな病変は確認されなかった.ぶどう膜炎に対しステロイド点眼のみで治癒傾向となった.調べえた限り,過去にADEMとぶどう膜炎を併発した小児例の報告はなかった.欧米を中心にMSにぶどう膜炎を伴った症例は多数報告されている.MSと同じ後天性脱髄性疾患であるADEMも,ぶどう膜炎と共通の免疫学的基盤を持つ可能性がある.現時点では,ADEMと考えているが後に他の脱髄性疾患と確定診断される可能性もあり,今後も定期的な経過観察を行う必要があると思われた.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 55 (6), 433-437, 2023

    一般社団法人 日本小児神経学会

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