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- 三杦 奈穂
- 学生総合支援機構・学生相談部門・特定専門業務職員
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抄録
希死念慮等の切実な問題を抱えたり,社交的に見えて自身の苦しさを誰にもさらせず孤立する人の中に,オンライン面接で自身の画像をオフにしたいとの希望が時折見受けられる。自身の画像をオフにしての経過では,クライエントが「見えないのにセラピストがわかっている」等の思いを述べることも多く,こうした遠隔心理支援においては双方の情緒交流が十分深まらないのではなく,むしろ一体化へと傾きやすい構造をはらむ可能性がある。その関係性にどう分け目が入り,クライエントとセラピスト両者が主体的になりうるかも肝要である。面接経過の中で,あるいは最終回にして初めて対面での面接を経ることもあるが,その際クライエント側にも様々な変化が起こりうる。「卒業」という節目の後押しや自身の主体性の育ちとあわせ,「生身の自身をさらす自分になった」体験,その意識が後押しする側面も大きいだろう。卒業後,決して平たんではないかもしれない道のりの中,何等かのアクチュアリティやインパクトがクライエントの中に残り続け,役立つことがあるのならば幸いである。
収録刊行物
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- 京都大学学生総合支援機構紀要
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京都大学学生総合支援機構紀要 2 111-114, 2023-11-15
京都大学学生総合支援機構
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390861383238049152
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- NII書誌ID
- AB00002734
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- DOI
- 10.14989/286335
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- HANDLE
- 2433/286335
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可