これからの社会に求められるショッピングセンターとは : 神戸・阪神地域の消費生活をもとに

DOI HANDLE オープンアクセス

抄録

本研究は、「これからの社会に求められるショッピングセンターとは 」という問いを設定し、自動車によるアクセスに頼らない持続可能なショッピングセンターの形を模索した。本研究では、兵庫県の神戸・阪神地域に出店するショッピングセンターを題材とし、オープン年や店舗面積などを千葉県の京葉エリアに出店するショッピングセンターと比較した。そこから、神戸・阪神地域では昔ながらの小規模なショッピングセンターが比較的多く現存していることが分かった。また、ショッピングセンターの位置情報をGIS によって地図化し、ショッピングセンターを規模による分類とアクセスによる分類でそれぞれ分類して分析を行った。その結果、鉄道によるアクセスを中心とする小規模なショッピングセンターは南部に、自動車によるアクセスに依存する大規模なショッピングセンターが北部にあることが判明し、北部地域の住民の買い物には課題があることが読み取れた。さらに本研究では、実際にショッピングセンターを利用する消費者にアンケート調査を実施し、ショッピングセンターの利用状況を把握した。この調査の分析でも、前述した規模による分類とアクセスによる分類を用いた。この調査から、高い頻度で小規模店舗に徒歩や自転車で行く利用者と、低い頻度で大規模店舗に自動車で行く利用者の二パターンがいることや、鉄道の利用者が便利なショッピングセンターでさえ鉄道によるアクセスがほとんどないこと、そして二つの特徴的かつ対照的なショッピングセンターが浮かび上がった。最後に、その二つの特徴的なショッピングセンターでのフィールドワークを実施し、持続可能なショッピングセンターに関するヒントを探した。一方のショッピングセンターは、駅の高架下を利用した商店街のような形態であり、利用者は徒歩や自転車で気軽に利用しているようだった。もう一方のショッピングセンターは、公園や映画館も兼ね備えており、買い物場所としてだけではなく、誰でも一日中楽しめる場所として機能しているようだった。これらの多様な調査の結果、本研究の問いへの答えは、「利用者が気軽に毎日立ち寄れる、小規模で効率的なショッピングセンター」であった。

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